久々にすた丼を食べた。券売機で並盛りのボタンをみて、指が止まった。880円…。嘘だろ、見間違いか? いや、まごうことなき880円だ。あの、学生時代にお財布を気にしながらも、腹一杯になりたくて食べた、僕らのソウルフード。すっかり遠い昔の話になってしまった。
たかが数百円、されど数百円。もはや、他の牛丼チェーンとは一線を画す価格帯だ。ファストフードではなく、ちょっとしたご褒美グルメの領域に踏み込んでいる。席について、そういえば最近は色々なメニューが増えたな…なんて思いながら、提供を待つ。学生時代にはなかった唐揚げやカレー、ラーメンまであるらしい。
そして、目の前に運ばれてきたすた丼。匂いが、もう反則だ。にんにく醤油の香ばしい香りが食欲を強烈に刺激してくる。一口食べれば、脳に直接ガツンとくるあの味が広がる。あぁ、これだよこれ。値段が上がっても、この旨さだけは昔と変わらない。
「高い、高い」とブツブツ言いながら箸を進める。でも、結局全部食べ終えた頃には、心の中で「でも、やっぱ旨いから許せるわ」とつぶやいている自分がいる。財布は軽くなったけど、心も体も満たされるこの感じ。もはやファストフードではないのかもしれないけど、僕にとってすた丼は、いつまでも特別な存在だ。また、給料日後にでも食べに来よう。
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