株 ふるい落とし

投資

デイトレード=分足を利用した短期時間軸取引きにおける、「ふるい落とし」や「トレンドの逆流」、そして「仕掛け売り」の見極め方と備え方について、丁寧にご説明いたします。

これは「ダマシ」ともいわれる株やFXのデイトレードを行う上で非常によく見られる動きであり、これらに対応できるかどうかが成功を分ける重要なポイントとなります。


短期時間軸の「ふるい落とし」と「トレンドの逆流」に備える

短期的な値動きは予測が難しいと感じるかもしれませんが、そこには機関投資家や大口の思惑が隠れていることが多いです。

1. ふるい落とし(ダマシ下げ・ダマシ上げ)の見極め方と対策

これは、個人投資家から株を買い集める、あるいは売りつけようとする動きです。

どのような動きか

ダマシ下げ(一般的なふるい落とし): 上昇トレンドの最中に株価が一時的に大きく下落します。

個人投資家が「トレンド転換だ」と誤解して損切りしたり、売りに回ったりしたところで、機関投資家が安値で買い集め、再び元のトレンドに戻していくパターンです。

ダマシ上げ: 下降トレンドの最中に株価が一時的に急騰します。

個人投資家が「底打ちだ」と飛びついたところで、機関投資家が高値で売り抜け、再び元の下降トレンドに戻っていくパターンです。

見極め方

出来高の確認: 急な値動きがあった際に、出来高が通常よりも異常に少ない場合は、ダマシである可能性が高いです。

本当にトレンドが転換するなら、より多くの参加者が売買を行うはずだからです。

急落・急騰後の戻りの速さ: ダマシの場合、一時的に値を崩しても、その後すぐに元の水準まで戻ることが多いです。

特に、下落後に値が戻ったことを示す「下ひげ」や、上昇後に値が戻ったことを示す「上ひげ」が長いローソク足が出現したら、注意が必要です。

複数時間足での確認: 5分足で急落していても、15分足や30分足で見るとまだ上昇トレンドの範囲内であることがあります。

上位時間足のトレンドをしっかりと確認し、短期の動きに惑わされないようにしましょう

分足における「出来高を伴うダマシ」の見極め方

分足で出来高を伴うダマシは、デイトレードにおいて最も警戒すべき動きの一つです。

機関投資家や大口が、個人投資家を意図的に誤った方向に誘導するために仕掛けてくることがあります。

1. 上位時間足のトレンドとの乖離

分足でどれだけ出来高を伴う大きな動きがあっても、日足や時間足(60分足など)といった上位の時間軸のトレンドと逆行している場合は、ダマシである可能性を強く疑うべきです。

例えば、日足では明確な下降トレンドなのに、5分足で急に出来高を伴って急騰した場合、それは一時的な戻しや、高値で売り抜けるためのダマシである可能性が高いです。

上位時間足が示す大局的な流れを常に意識しましょう。

2. 重要な価格帯での出来高集中と反転

事前に設定したサポートライン、レジスタンスライン、または過去の重要な高値・安値といった意識される価格帯に株価が到達した際に、出来高を伴って以下のような動きが見られたら警戒が必要です。

ブレイクアウトした直後に、出来高を伴って急反転する(例:レジスタンスラインを上抜けた途端、大量の売りが出て急落する)。

これは「フェイクブレイクアウト」とも呼ばれ、ダマシの典型例です。

強いサポートラインに到達した際、一度は出来高を伴って反発するものの、すぐにそのサポートを割り込んでしまう。

3. 板情報と歩み値の異常な動き

分足トレードでは、板情報と歩み値(約定履歴)のリアルタイム監視がダマシを見抜く上で非常に有効です。

不自然な大口注文: 突如として、通常では見られないような巨大な買い板・売り板が出現したり、消えたりする。

特に、株価を特定の方向に動かそうとする意図が見え隠れするような注文は注意が必要です。

約定価格の動き: 出来高が急増しているにも関わらず、約定価格が特定の価格帯で膠着状態になったり、意図的に押し下げられたり、吊り上げられたりするような動き。

これは、機関投資家が特定の価格で株を集めたり、捌いたりしているサインかもしれません。

また、大きな買い注文が瞬時に食い尽くされたり、反対に売り注文が次々と約定していく様も、ダマシの可能性を示唆します。

サポートライン・レジスタンスラインの確認: 事前に引いておいた強力なサポートライン(下値支持線)やレジスタンスライン(上値抵抗線)を一時的に大きく割り込んだり、上抜けたりしても、すぐにそのラインに戻るようであれば、ダマシの可能性が高いです。

対策

焦った損切りを避ける: 急落したからといって、すぐに損切りする前に、まずは数分様子を見てみましょう。

出来高や上位時間足を確認する余裕を持つことが重要です。

安易な逆張りを控える: ダマシ上げの際に「押し目買いのチャンスだ」と安易に飛びつくと、高値掴みになることが多いので、注意が必要です。

指値注文の活用: 突発的な値動きの際、成行注文では不利な価格で約定してしまうことがありますので、指値注文を基本とし、ご自身が納得できる価格でのみ約定させるようにしましょう。

2. トレンドの逆流(一時的な押し目・戻し)の見極め方と対策

これは、トレンドの勢いが一時的に弱まり、調整が入る動きです。

どのような動きか

上昇トレンド中に、一時的に株価が下がる(押し目)。

下降トレンド中に、一時的に株価が上がる(戻し)。

見極め方

移動平均線からの乖離: 上昇トレンドで株価が移動平均線から大きく上に乖離した場合、一時的に移動平均線に近づくように下がる(押し目)ことが多いです。

逆も同様です。

フィボナッチリトレースメント: トレンドの起点と終点を結び、フィボナッチリトレースメントを引いてみましょう。

38.2%や61.8%といった特定の比率で反発するようであれば、一時的な逆流である可能性が高いです。

トレンドラインの維持: 上昇トレンドであれば、トレンドラインを割り込まずに反発していれば、一時的な逆流(押し目)と判断できます

下降トレンドであれば、トレンドラインを上抜けずに反落していれば、一時的な逆流(戻し)と判断できます。

対策

押し目買い・戻し売り: 上昇トレンド中の押し目は買いのチャンス、下降トレンド中の戻しは売りのチャンスと捉えることができます。

ただし、トレンドが本当に継続するかどうかを見極める力が重要になります。

損切りラインの明確化: 押し目買いや戻し売りを狙う場合でも、もしトレンドが転換してしまった場合に備えて、損切りラインは必ず設定しておくことが大切です。


仕掛け売りの見極め方

「仕掛け売り」は、主に機関投資家や大口が意図的に株価を下落させるために行う売りです。

どのような動きか

特定の銘柄に、何の悪材料もないにも関わらず、突然大量の売り注文が出て株価が急落することがあります。

特に、出来高が急増しながら株価が下落していく場合は警戒が必要です。

見極め方

板情報の異変: 通常ではありえないような、非常に大きな売り板(特に上値の売り注文)が連続して並ぶことがあります。

その売り板が買いを吸収しきれずに、ずるずると株価が下落していくようであれば、仕掛け売りの可能性が高いです。

特定の価格帯での大口売り: 例えば、節目となる価格(キリの良い数字など)や、強いレジスタンスライン付近で、突如として大量の売り注文が出てきて、株価が急反転するような動きも仕掛け売りの可能性があります。

材料がない急落: 特に悪材料が出ていないのに、株価が急落し、しかも出来高を伴っている場合、意図的な売りである可能性を疑うべきです。

引け際や寄り付き直後の動き: 大口は、個人投資家が対応しにくい引け際や寄り付き直後に仕掛けてくることも多いため、この時間帯の急な値動きには特に注意が必要です。

対策

安易な飛びつき買いを避ける: 仕掛け売りによって急落した株を、「今がチャンスだ」と安易に飛びつき買いすると、さらに下落する可能性もあるため危険です。

チャートと板情報を常に監視: 常にローソク足の動きと同時に、板情報(特に注文量と価格)もチェックする習慣をつけましょう

異常な注文はすぐに気づけるようになるはずです。

信用売り残の確認: 信用売り残が急増している銘柄は、その後の買い戻しで株価が上昇する可能性もありますが、一方で仕掛け売りのターゲットにもなりやすいので、併せて確認しておくと良いでしょう。

冷静な撤退: もしご自身がお持ちの株で仕掛け売りをされたと感じたら、損失が拡大する前に冷静に損切りする勇気も必要です。


全体を通して大切なこと

デイトレードのような短期売買では、感情的にならずに、常に客観的なデータ(チャート、出来高、板情報)に基づいて判断することが何よりも重要です。

そして、どのような状況でもご自身の資金を守るという意識を忘れないでください。

経験を積むほど、見極める力も備わっていくはずです。

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