レバノンなどの海外においてはいまだ現役を貫いているポケベルですが、日本のポケベルサービスは、1990年代前半の隆盛期を経て、2019年9月の東京テレメッセージによる「マジックメール」サービス終了をもって完全に終焉を迎えました。 その歴史と衰退の過程を以下にまとめます。
隆盛期と衰退
1968年に日本でサービス開始されたポケベルは、1990年代前半、特に1996年には契約者数1000万人を超えるピークを記録しました。「8181(バイバイ)」といった数字によるメッセージ交換が若者を中心に流行しました。しかし、1990年代後半からの携帯電話の急速な普及がポケベルの衰退を招きました。携帯電話は音声通話やメールによる双方向通信を可能にし、ポケベルの機能を凌駕したためです。
サービス終了の理由
主要なサービス終了の理由は以下の通りです。
携帯電話・PHSの普及: 音声通話やメールによるコミュニケーションが容易になったことで、ポケベルの必要性が大幅に減少しました。
コスト: 携帯電話料金の低廉化により、機能的で利便性の高い携帯電話への移行が促進されました。
機能の制限: 受信専用で発信ができないというポケベルの機能制限が、双方向通信可能な携帯電話との比較において大きなデメリットとなりました。
利用者数の減少: 利用者数の減少はサービス維持コストの増加と収益の減少を招き、サービス継続が困難となりました。 東京テレメッセージの場合、最終的には1500人を下回る利用者数であったことがサービス終了の決定打となりました。
主要サービス終了時期
NTTドコモ(クイックキャスト/旧ポケットベル): 2007年3月末
東京テレメッセージ(マジックメール): 2019年9月30日
ポケベルの現在
現在、一般消費者向けのポケベルサービスは存在しません。 ただし、防災などの特殊な用途において、無線呼び出しシステムとして利用されているケースがあります。
日本のポケベルは、携帯電話・PHSの普及という技術革新と、それに伴う社会の変化によって、歴史の舞台から姿を消しました。 その短いながらも華やかな時代は、日本の通信史に大きな足跡を残しました。
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