「双極性感情障害」と聞くと、昔の呼び名「躁うつ病」のほうが馴染みがある人もいるかもしれません。
トラブル渦中の某著名人がこの病名を公表しましたね。
私自身、この病名に最初に触れたときは、感情の起伏が激しい性格、というくらいのイメージしかありませんでした。けれど実際には、そんな単純な話ではなかったのです。
この障害は、「躁(そう)」と「うつ」、つまりテンションが異常に高くなる状態と、極端に気分が落ち込む状態を周期的に繰り返すもの。問題は、そのどちらの時期も本人の意志ではコントロールしきれないほどの影響が出ることです。
躁状態のときには、自信過剰になってお金を使いすぎたり、眠らなくても元気に動き続けたり。周囲には元気そうに見えても、実はブレーキが効かない状態です。逆にうつ状態では、何をしても楽しく感じられず、日常生活さえままならなくなります。この両極端が交互に訪れることで、社会生活や人間関係に大きな影響を及ぼすのです。
大事なのは、「気分屋」や「怠け」といった言葉で片づけるべきではないということ。これは脳の機能に関わる医療的な問題であり、適切な診断と治療が必要な疾患です。実際、診断には精神科や心療内科での継続的な観察が必要で、治療には気分安定薬を中心とした長期的な服薬と、日々の生活リズムの安定が求められます。
支える立場の人も含めて、双極性障害に関する正しい知識を持つことはとても重要です。
決して一人で抱え込まないこと。
そして、本人も周囲も「病気に振り回されないようにする工夫」ができるようになれば、ゆっくりでも穏やかな日常を取り戻すことができると思います。
精神的な不調があったとき、「ただの落ち込み」と見過ごさずに、専門機関を訪れてみる。
その小さな一歩が、自分や大切な人を守る大きなきっかけになるかもしれません。
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