海芝浦駅

横浜市

海芝浦駅に行ってきた。

正直に言えば、海の美しさはそこまで期待しないほうがいい。工業地帯の海という現実は否応なしに視界に入ってくる。でも、それが逆にいい。人の気配が消えかける夕方の時間帯にホームに降り立つと、静かで寂しい、なんとも言えない“エモさ”が漂うのだ。

海芝浦駅はJR鶴見線の終着駅。工場の敷地内という特殊な立地のため、駅の外に出られない。ただし、小さな「海芝公園」だけは一般にも開放されていて、海に向かってベンチがぽつんと置かれている。この構造が、孤立感を一層際立たせている気がする。

僕は「鉄道×海」の情景が好きで、神奈川県内の海沿い鉄道をちょくちょく巡っている。入り江の上を走るシーサイドライン、湘南の浜辺と共存する江ノ電、そしてこの工場都市にひっそりと佇む海芝浦。それぞれの海が、鉄道と一緒に見せてくれる顔が違うのが面白い。

海芝浦は日常から切り離された時間が流れている。列車の本数が少ないせいか、次の列車までベンチでぼーっとすることになる。でもそれがいい。無機質な風景に、ひととき心を空っぽにできる隙間がある。

神奈川は、乗り物に乗るだけで満足度の高い旅になる不思議な土地だと、改めて思った。

コメント

タイトルとURLをコピーしました